19世紀以後の自然科学・科学技術の進歩、それと結びついた工業生産の発展・交通通信機関の発達などは、人類の生活を一変させ、現代文明をつくりあげた。
物理学、特に原子物理学は、ドイツ生まれのユダヤ系理論物理学者・アインシュタイン(1879〜1955、1921年にノーベル物理学賞を受賞)による相対性理論の発表(1905、1915)以来、飛躍的に発展した。なおアインシュタインはナチスの迫害を避けてアメリカに亡命し(1933)、戦後は平和運動で大きな役割を果たした。
原子物理学の進歩は、原子力発電などにも応用されたが、核兵器の開発にも利用されて原子爆弾を生み出した。人類の滅亡に繋がる最も危険な兵器となった核兵器の廃絶は21世紀の最大の課題となっている。
生物学は、分子生物学(1953年のDNAの構造解明以後急速に発展)から生化学(1970年に生蛋白の合成に成功)や生物工学(バイオテクノロジー)へと進み、病気の予防・治療や農作物の品種改良などに応用されている。
医学の分野でも、イギリスの細菌学者・フレミング(1881〜1955、1945年にノーベル医学賞を受賞)によるペニシリンの発見(1929)をはじめとする多くの抗生物質が発見され、病気の治療に大きな効果をあげている。
科学技術の著しい進歩は人類の生活を大きく変え、豊かで便利なものにした。
19世紀後半にドイツのダイムラー(1834〜1900)が実用化した(1985、86)自動車は、アメリカの「自動車王」・フォード(1863〜1947)による大量生産方式の採用(1903)によって普及し、まずアメリカが、第二次世界大戦後はヨーロッパ・日本などが自動車時代に突入した。
航空機は、1903年にライト兄弟(兄1867〜1912、弟1871〜1948)が初飛行(最長滞空時間は59秒、最長飛行距離は260mであった)に成功して以来、第一次世界大戦では兵器として発達し、第二次世界大戦では主兵器となった。
1939年にドイツが実験に成功したジェット機は戦後航空機の主力となり、第二次世界大戦中にドイツが実用化したロケットは、その後のロケット燃料の研究や各種技術の進歩により、人工衛星やミサイルを生み出した。大陸間弾道ミサイル(ICBM)は1957年にソ連が、1959年にはアメリカが開発に成功した。
1957年10月、ソ連は世界最初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功し、翌1958年1月にはアメリカも打ち上げに成功した。そして1961年4月にはソ連のガガーリン(1934〜68)が宇宙船ヴォストークで人類最初の宇宙飛行(108分)を行った。
それから8年後の1969年7月20日には、アメリカの宇宙船アポロ11号が人類史上初の月面着陸に成功し、アームストロング船長が月面に降り立った。
また電子工学(エレクトロニクス)や化学工業の発展は人々の生活を大きく変えた。
石油化学工業や高分子化学の発達は、ナイロン(1938年にアメリカで発明)・ビニロン(1939年に日本で発明)などの合成繊維やプラスチックなどの合成樹脂・合成ゴム・合成洗剤など多様なものを生み出した。
電子工学の分野では、レーダー(1935年にイギリスで実用化)・ラジオ(1920年にアメリカで放送開始)・テレビジョン(1926年にイギリスのベアードが動く物体の映像化に成功、1929年にBBCと共同で実験放送を開始、1936年にロンドン放送局が正式放送、アメリカは1939年にテレビ放送を開始)・コンピューター(第二次世界大戦末期にアメリカで発明、1946年にアメリカで初のコンピューターが完成した)などが生み出された。
またトランジスター(1948年にアメリカで開発)やIC(集積回路)の導入によってコンピューターは飛躍的に発達し、また電機製品・通信機器をはじめとする様々な分野で画期的な改良を生み出した。
特にコンピューターの発達は工業生産のオートメ化・ロボット化などを進めただけでなく、人類の生活そのものを一変させ、情報化社会・国際化などをもたらした。
しかし、現代文明はエネルギーや資源の大量消費を進め、大量の廃棄物を生み出している。そのため、公害や環境汚染・環境破壊などの環境問題が深刻となり、特に地球の温暖化や砂漠化、オゾン層の破壊など地球規模の環境問題をどう克服していくかが21世紀の重要な課題となっている。